東日本大震災復興の基本方針及び組織に関する法律案に対する意見書

2011年5月20日
日本弁護士連合会


本意見書について

当連合会は、2011年5月20日、「東日本大震災復興の基本方針及び組織に関する法律案に対する意見書」を、内閣総理大臣ほかに対し提出しました。


意見書の概要

当連合会は、5月13日に閣議決定され、衆議院に提出された本法案について、以下の点を提言します。


1 本法案の目的では、抽象的な社会経済や国民経済・国民生活のみならず、一人ひとりの被災者の人権と、自律的な意思決定を尊重することに言及するべきである。


2 本法案の理念には、創造的な取組が強調されているが、同理念は、あくまで被災者の生活や事業の再建がなされてこそ意義を持つ副次的な理念であることに留意するべきである。


3 原子力発電施設の事故による災害は、未だ終息しておらず、本格的な復興に取り掛かれる段階になるまでにはなお相当の時間を要するものと見られるが、かかる災害が継続する中でも、被害を受けた地域の環境及び産業の復興について必要な措置が早急に検討されるべきである。具体的には、本法案の中に、原子力災害のこうした特質を明記するとともに、それを踏まえた調査審議の自主性、独立性が確保されるべきであり、原子力災害の状況や復興のための施策を調査審議する合議制の機関が置かれた場合には、東日本大震災復興構想会議は、その調査審議の結果及び意見案を尊重することとすべきである。


4 東日本大震災復興構想会議及び合議制の機関は、多様な意見を有する人材を確保することが最も重要である。人選は、原則として、自薦・他薦に基づく公募制とし、上記課題についての基本的な構想や見識をあらかじめ明らかにさせ、併せて、それぞれの経歴や著書・論文などの基本的な情報についても公開させた上で、人選の過程についてできる限り透明性を図ることが必要である。


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