宮崎県口蹄疫被害に関する立法提言

2011年2月18日
日本弁護士連合会


 

本意見書について

当連合会は、この度、「宮崎県口蹄疫被害に関する立法提言」をとりまとめ、2011年2月18日に農林水産大臣に対し執行いたしました。



当連合会は、2010年4月20日に宮崎県において発症が確認された口蹄疫について、宮崎県口蹄疫災害対策本部を設置し必要な支援の検討を行ってきました。本年1月には2度目の被害調査を実施しました。



口蹄疫問題は未だ解決しておらず、支援の途に着いたばかりであると言えます。当連合会は、被災地の被害状況や被災者の意見、行政の施策や意見等を踏まえ、次のとおり立法及び施策の提言を行いました。


本意見書の趣旨

1 防疫体制について
  (1) 空港等において効果的な水際対策を整備すべきである。
  (2) 防疫体制は、国、県、市町村の役割を明確にし、国または県の現地対策本部に一元的に指揮命令系統を帰属させるべきである。



2 調査
  (1) 家畜防疫員が立入検査等できるよう口蹄疫に関する特定家畜伝染病防疫指針に具体的に明示すること等。
  (2) 感染源及び感染経路の究明のための調査は、発生直後から行い、一定の場合に限り、証拠保全等を含む調査権限を付与すべきである。



3 まん延防止
  (1) 民間の獣医師を家畜防疫員に就任させる等して人員を確保すべきである。
  (2) 殺処分した家畜の埋却地の確保や支援の措置を講ずる規定を置くべきである。
  (3) ワクチン接種や殺処分については、まん延の状況に応じて効果的で望ましい方法を選択できるように規定を整備すべきである。
  (4) 感染拡大時の個人情報保護法の不適切な運用について再発防止を講ずるべきである。



4 補償
  (1) 原則として損失の全額(非課税)が填補されるべきである。
  (2) 手当金の評価額等を含む補償措置に対し、異議の申立て手続を設けるべきである。
  (3) 助成等の措置の対象者を、風評その他で被害を受けた他の産業の従事者に拡げるべきである。
  (4) 預託農家等の新しい畜産形態に対応した補償の方法を検討すべきである。
  (5) 県有の種牛と民間種牛の取扱いの差について、公正さをするよう制度上の工夫を講ずるべきである。
  (6) 地域再生の措置として、基金のみならず財政上、税制上の措置も講ずるべきである。



5 心のケア
家畜や殺処分した畜産農家や、殺処分に従事した者の心のケアのための支援策を講ずるべきである。



6 再発防止
口蹄疫対策特別措置法の恒久化の検討の場を速やかに設置し、検討メンバーに、宮崎
県の畜産業者、隣接業者等の当事者を加えるべきである。


(※本文はPDFファイルをご覧ください)