文化審議会著作権分科会法制問題小委員会「技術的保護手段に関する中間まとめ」に関する意見書

2010年12月24日
日本弁護士連合会


本意見書について

日弁連では、2010年12月24日付けで、文化審議会著作権分科会法制問題小委員会「技術的保護手段に関する中間まとめ」に関する意見書をとりまとめ、同月27日付けで文化庁長官に対して提出しました。


本意見書の趣旨

1 アクセスコントロールの回避機器の氾濫等によって近年コンテンツ産業に大きな被害が生じていると報告される現状において、著作権法の技術的保護手段に関する規定を適切に見直すことによって、この状況を是正するとした、中間まとめに基本的に賛成である。


2 この見直しにあたって、アクセスコントロール機能とコピーコントロール機能を併せた技術を社会的・実体的に評価し、著作権法の技術的保護手段 に該当するとすることについても、基本的に賛成である。


3 ただし、前項の見直しにあたっては、以下の点に留意されたい。


(1)著作権法の支分権の対象とならない、いわゆるアクセスコントロール機能のみを有する技術については、現行著作権法の体系を大きく変更する可能性があるため、今回の見直しに当たっては対象としないこと。


(2)著作権法の技術的保護手段の見直しについては、条文案に関する具体的な報告がないため、立法にあたっては「明確性の原則」に特に配慮すること。


(3)著作権法の技術的保護手段の回避機器等の提供については、刑事罰の対象であるため、「技術的保護手段」及び「回避」の規定の見直しの際の条文化については、罪刑法定主義に反しないよう「明確性の原則」に特に配慮すること。


(4)近年、技術に関する著作権法の条文は難解で理解困難な表現になりつつあるが、法律は一般市民が一読して理解できるものでなければならないものであるから、改正条文はできるだけ平易な表現で規定すること。


(5)汎用的な装置及び特定の信号に反応しない、いわゆる「無反応機器」を技術的保護手段の回避対象としないという、現行法を維持すること。


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