当事者による鑑定費用に関する要望書

2010年12月17日
日本弁護士連合会


本要望書について

刑事事件において、被疑者及び被告人の権利を擁護し、また冤罪を防ぐために、弁護人が、精神鑑定、情状鑑定、法医学鑑定、工学鑑定、DNA鑑定、筆跡鑑定及び検察官立証に対する反証としての再鑑定等を専門家に依頼することは極めて重要な弁護活動であり、これは、国選弁護事件においても同様です。


ところが、この鑑定に要する費用は、現在の日本司法支援センターの基準では、国選弁護費用として支出されることはありません。そのため、国選弁護人が鑑定の必要性を認識しても、被告人等に資力がない以上、鑑定を諦めざるを得ないことになります。


しかし、このような制度の欠缺にもかかわらず、国選弁護人が費用を負担して当事者鑑定を依頼し、その結果、無罪判決や被告人に本来なされるべき判決等が勝ち取られることがあります。


このように、当事者鑑定について費用が支出されないということは、被疑者及び被告人の権利を擁護し正義を実現するために国選弁護制度を規定している憲法の趣旨に即しません。


そこで、日弁連は2010年12月17日の理事会において、かかる費用の支出が認められるよう国選弁護費用の算定基準の変更を求める要望書を取りまとめ、同月17日に法務大臣に対して、同月21日に日本司法支援センター理事長に対して提出しました。


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