在留特別許可のあり方への提言

→英語(English)

2010年11月17日
日本弁護士連合会


本改革提言について

日弁連では、2010年11月17日付けで、「在留特別許可のあり方への提言」を取りまとめ、12月6日付けで法務省入国管理局に提出いたしました。


本提言の概要

1 提言の目的
近時の在留特別許可の運用においては、2006年10月に法務省入国管理局が「在留特別許可に係るガイドライン」を公表した。しかし、政府の解釈では、在留特別許可は法務大臣が自由裁量に基づいて行う恩恵的な措置であり、ガイドラインも当該許可に係る「基準」ではない、と説明している。そこで、学校に通う子どもやその家族に関する事案等を中心に制度の実体面のあり方、手続面のあり方について、人権保障の観点から提言する。


2 在留特別許可と国際人権条約
在留特別許可の判断にあたっては、国際人権(自由権)規約や子どもの権利条約などの国際人権条約の趣旨にしたがうべきことから、次の点を法律または規則等で明確にするべきである。
(1) 非正規滞在者に対する退去強制令書の発付は、当該非正規滞在者が受ける不利益の程度と、退去強制によって達成される利益を比較衡量して、合理性を欠く場合は許されないこと。
(2) 特に、当該非正規滞在者またはその家族の構成員が子どもである場合は、家族の分離禁止の原則が適用されるから、在留資格なく日本に滞在する者の退去強制による出入国管理秩序の維持という利益のみでは退去強制を行わないことを原則とすること。


3 在留特別許可における適正手続保障
在留特別許可の判断に際しては、前項の国際人権基準の趣旨に沿って適用するものとし、在留特別許可を求める者への適正手続保障を行うべきである。


4 在留特別許可における審査機関の設置
在留特別許可の許否にあたっては、第三者機関を設置して、適正・迅速な在留特別許可の運用が可能となるような仕組みを設けることが検討されるべきである


(※本文はPDFファイルをご覧下さい)