市民後見のあり方に関する意見

2010年9月17日
日本弁護士連合会


本意見書について

2000年4月から始まった成年後見制度の利用は毎年増加傾向にありますが、親族以外の専門職などの第三者後見人候補者不足等により、潜在的ニーズに対応ができていない現状があります。


そのため、市民後見人(本意見では「弁護士や司法書士などの資格は持たないものの社会貢献への意欲や倫理観が高い一般市民の中から、成年後見に関する一定の知識や技術・態度を身につけた良質の第三者後見人」と定義」)の養成が様々な形で始まりつつありますが、支援・監督体制を整備しないままの養成研修の先行は、市民後見人の有する権限・責務の重大性に鑑みると極めて危険な事態であり、市民後見のあり方についての検討が急務です。


当連合会は、2009年12月から2010年1月に全国の自治体等を対象とした市民後見に関するアンケートを行い、2010年4月には、「市民後見のあり方を考える」と題したシンポジウムを開催いたしました。


この度、これまでの議論を踏まえ意見をとりまとめ、2010年9月30日付けで、厚生労働省、法務省などに提出いたしました。


本意見書の趣旨

  1. 国及び地方公共団体の公的責任の下で、養成・支援・監督等の一貫した体制を構築し、中核となる拠点(センター)を設置・運営すべきである。
  2. 市民後見人養成においては必要かつ十分な内容の研修が必要であり、後見活動の適正を担保することが不可欠である。また、養成・支援・監督等の一貫した体制の構築、運営については、専門職の関与・連携が行われるべきである。
  3. 市民後見人は地域における権利擁護の担い手として積極的に位置付けられるべきであり、国及び地方公共団体は、成年後見制度及び市民後見制度の理解の浸透を図り、地域社会に対する働きかけをすべきである。

なお、これまで当連合会では、2000年4月から始まった成年後見制度について、当制度施行状況を踏まえた制度改善・改正のための検討を行ってきており、制度施行から約5年が経過した2005年5月には、「→成年後見制度に関する改善提言」 を、2008年8月には、「→任意後見制度に関する改善提言(中間まとめ)」を公表しています。


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