「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」の改正に関する意見書

2010年9月16日
日本弁護士連合会


本意見書について

当連合会は、この度、「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」の改正に関する意見書をとりまとめ、2010年12月21日に各政党等、及び衆参議院議長に対し郵送執行いたしました。


2005年11月に成立し、2006年4月に施行されました高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律(以下「本法」といいます。)は、2010年3月に施行後4年を経過し、現在、法改正作業が行われているところです。


当連合会は、本法成立前の2004年に「高齢者虐待を防止するための提言」を発表して立法化を求めるなど、本法が成立する前から高齢者虐待問題に取り組み、本法が成立した後も、各都道府県・市町村や日本社会福祉士会等と連携するなどして高齢者虐待を防止するための活動を行ってきました。


本法により、市町村の責任が明確化され、関係諸団体の取組みにより、一定の成果をあげていますが、他方、改善すべき点や制度の限界も明らかになってきています。


これを受け、当連合会では、制度改善、改正のための検討を行ってきましたところ、運用の改善によるべきものも多々あるものの、運用の改善では足りず、法改正を要すると考えられる事項もありました。


本意見書は、現在の法改正作業に向け、当連合会が法改正を要すると考えられる事項を指摘し、実効的な高齢者虐待防止のための制度を確立するために不可欠な法改正の方向性について意見するものです。


本意見書の趣旨

  1. 65歳未満の者に対する虐待についての条文の新設
  2. セルフネグレクトについての条文の新設
  3. 「養介護従事者等による虐待」の範囲の見直し
  4. 身体拘束についての規定の新設
  5. 通報義務の要件の緩和等
  6. 市町村による虐待の事実確認等における関係機関の情報提供義務規定の整備
  7. 「やむを得ない事由による措置」の規定の整理
  8. 緊急性のある場合の一般病院への措置入院制度の創設
  9. 立入調査の要件の緩和等
  10. 面会制限の要件の緩和等
  11. 市町村及び都道府県の責務の明確化

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