「東京都青少年の健全な育成に関する条例」のインターネット利用環境の整備に関する改正案についての意見書

2010年8月20日
日本弁護士連合会


本意見書について

日弁連は、「東京都青少年の健全な育成に関する条例」のインターネット利用環境の整備に関する改正案についての意見書をとりまとめ、8月31日付けで東京都知事及び東京都議会議長に提出しました。


本意見書の趣旨

平成22年第2回東京都議会定例会に提出された「東京都青少年の健全な育成に関する条例」の改正案(以下「本改正案」という。)中、インターネット利用環境の整備に関する規定は、都が特定の携帯端末の利用を推奨することができるとしているが、これは、公権力が有害情報の判断に実質的に関与するものである。


また、本改正案は、フィルタリングの対象とする有害情報や有害行為をあいまいに規定しており、表現の自由及び知る権利を侵害するおそれがある。


さらに、フィルタリングサービスを利用しない場合に、多様な考え方や価値観などを持つ人々によって構成されている保護者に正当理由等を記載した書面提出を求めることは、各家庭の事情を顧みないものであり、家庭教育に対する公権力の不当な介入であるほか、青少年と保護者との対話などを通じて醸成が期待される青少年の情報リテラシーの育成を阻害するおそれがある。


そして、本改正案中、児童ポルノの規制は実在の被害者がいない図画をも規制の対象としようとするものであり、表現の自由に対する重大な危険をはらんでいる。


以上のような問題のある改正案は、上記東京都議会定例会において廃案となったが、一部修正の上再度上程されると聞き及んでいる。


従って、本改正案について抜本的な修正がなされない限り、改正案が上記定例会に提出されないよう要望する。


(※本文はPDFファイルをご覧下さい)