「無料低額宿泊所」問題に関する意見書

2010年6月18日
日本弁護士連合会


本意見書について

日弁連では、2010年6月18日付けで、「無料低額宿泊所」問題に関する意見書をとりまとめ、同月25日付けで厚生労働大臣に対して提出しました。


本意見書の趣旨

  1. 第1種社会福祉事業の実体を有する無許可施設が第2種社会福祉事業として営業することを容認する、平成15年7月31日社援発第0731008号厚生労働省社会・援護局長通知「社会福祉法第2条第3項に規定する生計困難者のために無料又は低額な料金で宿泊所を利用させる事業を行う施設の設備及び運営について」は、ただちに廃止されたい。


  2. 上記社会・援護局長通知を前提とし、さらに現行社会福祉法による規制が可能な事業者を法的位置付けがないものと扱う、平成21年10月20日社援保発1020第1号厚生労働省社会・援護局保護課長通知「生活保護受給者が居住する社会福祉各法に法的位置付けのない施設及び社会福祉法第2条第3項に規定する生活困難者のために無料又は低額な料金で宿泊所を利用させる事業を行う施設に関する留意事項について」は、ただちに廃止されたい。


  3. 無料低額宿泊所が、「不当に営利を図り」「(利用者の)処遇につき不当の行為」をしていると疑われる場合には、届け出の有無にかかわらず、社会福祉法70条に基づく調査を実施し、同法72条1項または3項に基づいて経営の制限又は停止を命令するなど、適切にその権限を行使するよう、都道府県知事及び指定都市市長に対して地方自治法245条の4第1項に基づく技術的助言としての法解釈指針を社会・援護局長通知などの形で早急に示されたい。


  4. ケースワーカーを増員するなど、ホームレス状態にある者に対する居宅確保を援助する体制を整え、生活保護法が要請する居宅保護の原則を徹底されたい。


  5. 一般住居への転居支援の促進、苦情申出先としての運営適正化委員会の体制整備、当事者への情報周知の徹底などによって、意に反してこのような業者のもとでの生活を強いられている当事者の救済を図られたい。

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