生活保護における生活用品としての自動車保有に関する意見書

2010年5月6日
日本弁護士連合会


本意見書について

現在の生活保護行政においては、生活に困窮した市民が福祉事務所の窓口を訪れても保護の申請ができずに追い返されてしまう、いわゆる「水際作戦」が広く行われており、正当な保護受給要件のある人が申請を断念させられ、保護受給者の数を減らす結果を招いています。この「水際作戦」の一つの典型例となっているのが、「車を処分しなければ保護は受けられない」という対応であり、その背景には極めて限定された場合に限って自動車の保有を認め、自動車保有を過度に制限する各種通知等の存在があります。


これに関し、日弁連では2010年5月6日付けで意見書を取りまとめ、5月14日に厚生労働省に提出しました。


本意見書の要旨

日本弁護士連合会は、厚生労働省に対し以下の要望をする。


  1. 昭和38年4月1日社保第34号厚生省社会局保護課長通知「生活保護法による保護の実施要領の取扱いについて」(以下「本件課長通知」という。)第3の9、第3の9-2及び同第3の12、生活保護手帳別冊問答集(以下「別冊問答集」という。)問3-14、並びにこれらの解釈にかかる通知等を廃止し、処分価値が小さい(例えば当該世帯の最低生活費の6ヶ月分までなど)生活用品としての自動車は、ローン返済中のものも含め、原則として保有を認めるものとする旨の通知をなすこと。

  2. 別冊問答集問3-20を廃止し、他人所有の自動車を借用している場合は原則として保有を認め、例外的な場合に限って換価による活用を求める旨の通知をなすこと。

  3. 昭和36年4月1日厚生省発社第123号厚生事務次官通知「生活保護法による保護の実施要領について」(以下「本件次官通知」という。)第8-3-(5)に任意保険料を追加し、その他の必要経費として年金や児童扶養手当等の収入から控除することを認めること。

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