「民間賃貸住宅政策について(意見募集)」に対する意見書

2010年1月29日
日本弁護士連合会


本意見書について

国土交通省が2010年(平成22年)1月14日付で公表した、社会資本整備審議会住宅宅地分科会民間賃貸住宅部会の「最終とりまとめ」に関し、日弁連は、標記意見書をとりまとめ、国土交通省に提出いたしました。


本意見書の趣旨

  1. 紛争の未然防止について
    (1) 国土交通省の原状回復ガイドラインを具体化して、賃借人に不当な負担を課すことのないようにし、合わせて、その内容を賃貸住宅標準契約書に盛り込むべきである。
    (2) 敷引き、礼金、更新料などの不合理な一時金の契約慣行を賃貸住宅標準契約書に明記すべきでない。

  2. 紛争の円滑な解決について
    (1) 新しい紛争処理機関を設ける場合には、判断の中立性・公正さが確保されるべきである。
    (2) 原状回復費用を保険でカバーし、保険料を賃借人負担とする制度は導入すべきでない。

  3. 滞納・明け渡しを巡る紛争について
    (1) 家賃債務保証業者の適正化を図り、賃借人の権利を保護するためには、(1)登録制、(2)家賃債務保証業者・サブリース事業者・賃貸人を問わず家賃請求権(求償権)の行使や賃貸物件の居住使用を阻害する行為を禁止する行為規制、(3)その他の家賃債務保証業者の業務の適正を確保するのに必要な業務規制などを柱とする規制法を制定すべきである。
    (2) 賃借人(入居希望者)の家賃滞納等の信用情報を入手できる仕組み(データベース化)を禁止すべきである。
    (3) 家賃を滞納した賃借人に対する賃貸借契約の解除・明渡請求の円滑については、賃借人の居住権や適正手続を受ける権利を損ねることのないように慎重に対処すべきである。
    (4) 住宅の確保に特に配慮を有する者の居住の安定については、公営住宅の供給促進、公的保証制度や家賃補助制度の拡充など、住宅政策を抜本的に改善することが求められる。

  4. 民間賃貸住宅のストックの質の向上について
    民間賃貸住宅のストックの質を向上させるために、必要な制度を充実させるべきである。


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