年金分割のための情報通知書に対する意見書

2009年12月17日
日本弁護士連合会


本意見書について

2007年(平成19年)4月1日以降に離婚をした場合においては、婚姻期間中に納めた保険料(掛金)の額に対応する厚生年金(共済年金)を当事者間で分割する制度(以下「合意分割」という。)を利用するにあたり、当事者の一方または双方は、離婚前または離婚後に社会保険事務所等に対し、年金分割のために必要な情報の提供を請求することができ、当該情報は、「年金分割のための情報通知書」(以下「情報通知書」という。)により通知されます。


そして、当事者間の話し合いにより分割割合を合意できない場合には、年金分割を求める当事者から家庭裁判所へ申立てをなし、分割割合を定める審判の確定または調停の成立により、年金分割の請求及び社会保険庁長官等による年金分割の処分が行われることとなります。


この場合、年金分割を求める当事者は、情報通知書の原本を家庭裁判所に提出することになりますが、情報通知書には、当事者の氏名・生年月日・基礎年金番号・情報提供請求日・婚姻期間等以外にも、請求者の住所が記載される仕様になっているほか、情報通知書の裏面には、「本通知に関するお問い合わせ先」という欄があり、同欄には当該情報通知書を発行した社会保険事務所の名称や所在地、連絡先が記載されることがあります。

 


しかしながら、このように請求者の住所や情報通知書の発行元社会保険事務所を記載する仕様は、いわゆるDV事件等を中心とした多くの離婚事件において、年金分割を求める妻が現在の住所を秘匿しているという実態を考慮しないものであり、配慮に欠けた取扱いといえます。


そこで、日弁連は、2009年12月17日に「年金分割のための情報通知書に対する意見書」を取りまとめ、本年1月6日に、内閣府男女共同参画局長、厚生労働大臣等に執行いたしました。


本意見書の趣旨

情報通知書には請求者の住所や発行元社会保険事務所に関する情報を載せないよう、現行の情報通知書の記載事項の体裁を早急に改めるべきである。


(※本文はPDFファイルをご覧下さい)