少年審判における社会調査のあり方に関する意見書

2009年5月7日
日本弁護士連合会


本意見書について

近時、少年保護事件において家庭裁判所調査官が作成する少年調査票に関し、「簡にして要を得た」記載を行うことが求められるとして、そのあり方を改めるべきだという指摘が一部でなされています。しかし、それによって、家庭裁判所での長い実務の蓄積を背景に成立している社会調査のあり方が後退し、少年の健全育成という少年法の理念の達成に悪影響があってはなりません。


そこで、日弁連は、「少年審判における社会調査のあり方に関する意見書」を2009年5月7日付で取り纏め、同年5月11日に最高裁判所宛に提出いたしました。


意見の趣旨

  1. 少年保護事件における家庭裁判所調査官の調査は、原則逆送事案であるか否かにかかわらず、少年が非行に至った原因を、科学主義の原則にしたがって分析するに足りる十分な材料を提供すべく、質・量ともに充実したものであるべきである。


  2. 家庭裁判所調査官が作成する少年調査票には、少年の資質及び少年の成長過程や成育環境に関する事実等が正確に記載されるべきである。


  3. 少年調査票には、家庭裁判所調査官が行った社会調査の結果と少年鑑別所による心身鑑別の結果を踏まえ、少年が非行に至った背景・動機の、精神医学・心理学・社会学等人間諸科学の知見に基づいた丁寧な分析と、少年の非行性の除去のために必要な処遇計画の具体的な指針が記載されるべきである。

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