新しい法曹養成制度の改善方策に関する提言

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2009年1月16日
日本弁護士連合会


本提言について

日弁連は、2008年に公表した「法曹人口問題に関する緊急提言」(2008年7月18日)のなかで、法科大学院を中核とする新しい法曹養成の現状が抱える問題点を指摘するとともに、その後、「法科大学院の到達目標についての提言」(2008年9月3日)、「中央教育審議会大学分科会法科大学院特別委員会『法科大学院教育の質の向上のための改善方策について(中間まとめ)』に対する意見」(2008年12月19日)を発表し、法科大学院のあり方を中心に、同問題点への対応策について提言をしてきました。


本提言は、これら提言をふまえ、法科大学院、司法試験、司法修習、継続研修を見通した、新しい法曹養成制度全体に関する改善方策について提言するものです。


本提言の趣旨

  1. 当連合会は、法科大学院を中核とする新しい法曹養成制度の理念をふまえ、その充実、発展のために必要な支援を全力をあげて行う。

  2. 新しい法曹養成制度については、その理念との乖離が一部で生じていることから、社会の幅広い需要に応える多様で質の高い法曹を養成するため、当面必要な改善方策について次のとおり提言する。


    (1)地域的な適正配置に配慮しつつ、法科大学院の一学年総定員を当面4000名程度にまで大幅削減すること。


    (2)法科大学院の理念に沿った教育を実施するために必要な体制を整えることが困難な状況にある法科大学院については、他法科大学院との連携や学生募集の停止を含めた適切な措置を主体的に講ずること。

    (3)法科大学院の基本的な履修科目につき、修得すべき知識の最低限の範囲を確定し、法的思考力の涵養を重視することを目的とした到達目標を設定すること。


    (4)法科大学院における臨床科目の一層の充実をはかること。


    (5)法科大学院入学後、はじめて法律を学ぶ未修者が3年間の課程を通じて法曹になるための基礎力を身につけることができるよう、教育内容・方法の工夫をはかること。


    (6)法科大学院における成績評価及び修了認定が厳格になされるよう、各法科大学院がその実効性を担保する仕組みを具体的に講ずるとともに、各認証評価機関においては適切な評価方法の工夫をはかること。


    (7)新司法試験の短答式試験について、いたずらに知識を重視した試験とならないよう、その出題対象を法律実務家となるために必要とされる基本的法律知識に限定し、その確実な理解を試すものとするとともに、論文式試験との配点割合を見直すこと。


    (8)予備試験制度については、法科大学院が新たな法曹養成制度の中核的教育機関であることをふまえ、あくまでごく例外的な法曹資格取得の途として運用すること。


    (9)各法科大学院と法曹三者の連携の下、新司法試験終了後、分野別実務修習開始までの間に、必要な実務導入教育を実施すること。


    (10)新規登録弁護士の実務能力の向上をはかるとともに、社会の幅広い需要に応えられる能力養成のため、日弁連、弁護士会として、新規登録弁護士を対象とした研修及び全ての弁護士に向けた継続研修の体制を整備すること。


    (11)プロセスとしての法曹養成制度を担う法科大学院、司法試験、司法修習の各運用及び制度の改善に役立てるため、それぞれの運用状況等に関する情報の公表を一層進めること。   

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