民法の成年年齢引下げの是非についての意見書

2008年10月21日
日本弁護士連合会


意見の趣旨

民法の成年年齢を引下げることについては、若年者の自己決定権が早期に実現するなどの点では積極的意義も認められるが、以下の理由から、現時点での引下げには慎重であるべきである。


  1. 成年年齢を引下げることにより、18歳、19歳を被害者とする消費者被害の拡大が予想されるが、現状ではこれに対する適切・有効な対策が見いだせない。


  2. 民法の成年年齢引下げによる少年法、児童福祉法等の他法への現実的な影響を無視できず、この点を十分考慮せずに民法の成年年齢のみを切り離して引下げるのは適切でない。


  3. 日本社会において、何歳以上を「成年」として扱っていくのかについては、現在国民的なコンセンサスが成り立っていると言えない状態である以上、十分な国民的議論を踏まえた上で慎重に検討・判断すべきである。


  4. 民法の成年年齢を引下げるには、以下の条件ないしは準備が必要である。

    (1)高校生までの教育課程で十分な法教育および消費者教育を実施すると同時に、若年成年者に対する消費者保護の法制度を整備すること

    (2)刑事手続に関して、現行少年法と同様の若年成年者に対する保護主義に基づく法制度を整備すること

    (3)子が20歳に達するまでの親の養育費負担の義務化等、若年成年者が社会的自立を果たすために必要な法制度あるいは法運用を整備すること

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