「社会保障カード(仮称)の基本的な構想に関する報告書」に関する意見書

2008年8月27日
日本弁護士連合会


意見の趣旨

2008年(平成20年)1月25日、厚生労働省に設置された「社会保障カード(仮称)の在り方に関する検討会」(以下「検討会」という。)が、「社会保障カード(仮称)」(以下「社会保障カード」という。)の導入を目指して、「社会保障カード(仮称)の基本的な構想に関する報告書」を公表し、さらに、同年4月22日に開催された同検討会に、同検討会の作業班が、「社会保障カード(仮称)の在り方に関する検討会作業班における検討状況」なる中間報告を行った(以下これら2つの報告書を併せて「報告書」という。)。


これらの報告書の内容及び検討の進め方には重大な問題があるので、以下、意見を述べる。


  1. そもそも、少子高齢化社会や地方分権社会(地域社会の自己決定)を前提とした日本の福祉社会のあり方に関する政府の構想を示すことなく、その「手段」として位置づけられるはずの社会保障カードについて、その導入ありきの議論を行うべきではない。
  2. したがって、社会保障カードに関する現在の検討の進め方は抜本的に見直すべきである。年金・医療・介護の各制度を直接担っている市町村、医療機関、介護事業者などの意見はもちろんのこと、年金・医療・介護の各サービスを受け、かつ最終的な費用負担者となる国民の意見をも、広く取り入れることから検討を始めるべきである。
  3. 以上を踏まえ、社会保障カードの加入者を特定するための鍵となる情報について、医療・年金・介護の各制度共通の統一的な番号を創設することや、カードの識別子を利用することには反対である。

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