独占禁止法等の一部を改正する法律案に対する意見書

2008年5月8日
日本弁護士連合会


本意見書について

公正取引委員会は、平成20年3月11日、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(以下「独占禁止法」という。)等の一部改正法案を、国会に提出しました。これは、平成17年に改正された現在の独占禁止法が附則13条で、法律の施行後2年以内に必要な見直しをするとされたことを受けたものです。


今回の改正法案は、課徴金の対象となる違反行為の拡大など当連合会がこれまでに述べてきた意見に照らし、おおむね賛同できる内容となっているものの、同基本問題懇談会での検討を全く経ずに今回唐突に改正法案に入った項目があります。また、当連合会が一貫して強く要望してきた違反行為に対する民事救済制度の拡充のための改正が最小限のものにとどまっていることは、引き続き大きな問題です。


そこで、改正法案において看過できないいくつかの問題に絞って意見を述べ、今後の国会審議等においてこれらの点が十分に検討され、改善がなされることを期待するものです。内容は以下の通りです。


  1. 改正法案が新設する利害関係人による審判の事件記録の閲覧謄写の制限規定は広範にすぎるので、民事訴訟法の裁判記録の閲覧謄写の制限規定と同様の規定にすべきである。
  2. 課徴金減免が認められた事業者に対して刑事処分を課さないとの取扱いは、免責の基準を法定化するなどより明確にすべきである。
  3. 行政調査手続(審査手続)において、供述調書の写しの提供、供述録取の際の弁護士の同席、弁護士秘匿特権の導入を積極的に検討すべきである。
  4. 独占禁止法上の差止請求権の要件を緩和し、消費者団体訴権の適用範囲を拡大するなど民事救済制度をより拡充すべきである。

本意見書は、2008年5月22日、公正取引委員会等に提出しました。


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