「短時間労働者の雇用管理の改善に関する法律の一部を改正する法律案」 についての意見書

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2007年3月2日
日本弁護士連合会


 

本意見書について

厚生労働省は、2007年2月13日、「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の一部を改正する法律案」を衆議院に提出しました。同法律案は、労働政策審議会雇用均等分科会が2006年12月26日にとりまとめた「今後のパートタイム労働対策について(報告)」を受けて作成されたものです。


施行から13年を経て、ようやく「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律」の改正が現実化しようとしていますが、上記法律案は、当連合会が1989年から繰り返し表明してきた意見とは重要な点で大きく異なっており、看過できない問題があります。


そこで、当連合会では、特に重要な問題点を指摘した意見書をとりまとめ、2007年3月12日、厚生労働大臣に提出いたしました。


意見の趣旨は下記のとおりです。


  1. 均等待遇の原則の明記について
    パートタイム労働者に対して、「労働時間が短い」という特性によって合理的とされる取扱いを除き、全ての労働条件について、同一または類似の業務に従事する正規労働者との間で差別的取扱いを禁止するという、均等待遇の原則を法に明記すべきである。
  2. 賃金について
    同一または類似の業務に従事する正規労働者と同一の賃金率及び昇給率により、労働時間当たり同額の賃金を労働時間に比例して支給するよう義務づけるべきである。また、「賃金」には、諸手当及び退職金も含むべきである。
  3. 福利厚生について
    厚生労働省令で定める一定の施設の利用について配慮義務を定めているが、極めて不十分である。少なくとも、健康の保持又は業務の円滑な遂行に資する福利厚生施設の利用については、省令で限定することなく全て、差別的取扱いを禁止すべきである。
  4. 正規労働者(通常の労働者)への転換について
    正規労働者への転換を推進するために事業主が講ずべき措置を定めているが、措置の内容、及び、いずれかの措置をとればよいとされていることは、極めて不十分である。正規労働者の欠員を補充するときは、正規労働者への転換を希望するパートタイム労働者に、外部の応募者に優先する権利を与えることを規定すべきである。
  5. 期間の定めについて
    期間の定めのある労働契約は、代替的、短期的、季節的な特別な業務の場合など業務の性質上期間を定めることにつき合理的な理由がある場合を除き許されないこと、及び、解雇に関して正規労働者と差別して取り扱わないことを明記すべきである。

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