新しい難民認定手続に関する意見書
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2006年10月17日
日本弁護士連合会
本意見書について
2004年6月、難民認定制度に関する部分を含む出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律が成立し、2005年5月以降、新しい難民認定手続が実施されています。日弁連では、施行後1年を経過した新しい難民認定手続について、その間の運用の状況をふまえ、2006年10月17日の理事会において意見をとりまとめ、同月23日に法務大臣に提出しました。
意見の要旨は以下のとおりです。
1.異議申立機関について
異議申立制度・難民認定制度全体を実効性のあるものとするため、入国管理や外交政策を所管する省庁から独立した異議申立機関を設置すべき
2.難民審査参与員制度について
- 参与員の人選については、専門性・公正性の確保のため、UNHCR・当連合会などからの推薦を全体の3分の2以上とすることとを制度化すべき
- 参与員に対する研修の拡充・待遇の見直し
- 参与員の事務を補助する独自の事務局を設置すべき
- 記録の開示・釈明の機会の付与
- 代理人の人数の制限等の禁止
- 参与員の意見形成のあり方については、合議体によって意見を形成すべき
- 決定の理由・参与員の意見の詳細化
3.難民申請者の法的地位について
- 仮滞在許可の除外事由である「直接本邦に入った」の要件について、第三者の検証が可能な資料を明らかにすべき
- 仮滞在許可を受けた者に適切な保護措置を講ずるものとし、困難な場合は、一定条件下での就労を認めるべき
- 仮滞在許可の審査期間は2週間程度とし、その間、退去強制手続が進行するなどないようにすべき
4.退去強制手続との関係について
- 難民申請者に対する在留特別許可については、人権書条約や人道的な配慮を根拠とした保護の必要性を重視するとともに、許否の基準を公表し判断の理由を示すべき
- 異議申立手続においても、難民申請者に対する在留特別許可の拒否を必ず審査すべきものと解釈・運用すべき
- 退去強制手続は訴訟準備・係属中も停止されるべき
5.一次審査手続における適正手続の保障について
難民認定手続における適正手続保障の実現のため、以下の諸方策などを講じること
- すべての資料に対する意見の陳述・釈明の機会の付与
- インタビューへの立会いなど、弁護士の代理人としての活動を認めるべき
- 一次審査手続における処分について、詳細な理由の付記
6.難民認定制度に対するアクセスについて
難民認定制度に対するアクセスを容易にすること
7.通訳人について
通訳能力の水準を確保するため、能力の審査・研修などの措置を講じるべき
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