刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律施行規則(受刑者処遇法施行規則)に関する意見書

2006年8月23日
日本弁護士連合会


本意見書について

本意見書は、2006年5月23日付で公表された刑事施設及び受刑者の処遇等に関する施行規則(2006年5月24日施行)について、とりわけ早急に見直されるべき問題点を意見書としてまとめたものです。

日弁連は、2006年8月23日の理事会において、本意見書を取りまとめ、同年8月25日、法務大臣に提出しました。
 
意見の趣旨は、下記のとおりです。


  1. 視察委員会に対する情報の提供
    刑事施設の長が、毎年度の初回会議において、刑事施設視察委員会に対し提出する書面に記載すべき情報の中に、遵守事項と所内生活の心得を含めるべきである。
  2. 識別のための身体検査
    収容開始時に行われる識別のための身体検査の内容として、指静脈のデジタル画像採取が新設されたが、今後、国民全体の指静脈採取の突破口ともなる危惧があり、慎重に議論を行う必要がある。
  3. 制限区分と優遇区分
    新たに設けられた制限区分と優遇区分は、運用次第で人権制約の度合いが極めて高くなり得るので、改善更生及び円滑な社会復帰に資するよう、工夫と配慮を求める。
  4. 外部交通・書籍・新聞
    面会時間を原則30分以上としながら、混雑時には面会時間最低5分にまで短縮できるとしたことは、実態の追認であり、面会設備・体制の整備により、早急に原則どおりの面会時間を確保するべきである。
    面会の立会い又はその状況の録音・録画の態様は、制限区分に応じ、基準を定めて実施するものとされているところ、立会い等は必要な場合にのみ行うという法の趣旨に反しないよう、画一的な基準を設けるべきではない。
  5. 保健衛生・医療
    指名医による診療については、指名医が、診療に必要な医療器具・設備の使用することを妨げられないよう、事前に施設の長が指名医と協議することを規定するべきである。
    また、指名医が「受刑者と診療のため必要な範囲を明らかに逸脱した会話をしてはならないこと」との規定は、削除されるべきである。
  6. 差入れ・領置
    保管私物の保管限度量と領置限度量の制限から除外されるものとして、「受刑者が当事者である訴訟記録やその写しに加え、訴訟関連の書籍、資料を加えることを求める。
  7. 懲罰
    閉居罰の執行方法について、「謹慎させるため必要な限度で」、生活及び行動を制限できるとされているが、「必要最小限度」にとどめるべきである。
  8. 死亡
    受刑者が死亡した場合には、刑事施設の長は検視した上で、「変死又は変死の疑いがあると認めるときは」、検察官及び警察官たる司法警察員に通報するとされが、検視の結果、明らかに病死であると認めた場合を除いて通報するよう、修正するべきである。

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