改正検察審査会法の施行に向けた意見書

2006年7月20日
日本弁護士連合会


本意見書について

検察審査会制度は、検察官の公訴権の行使を市民がチェックし、刑事司法ないし検察の民主化、権力行使の適正化を図るために我が国独自の制度として発足したものです。


改正検察審査会法は、検察審査会制度の充実・強化、民意のより適正な反映等を目的として、2004年5月28日に公布され、5年以内に施行されることとなっています。


主な改正点は、(1)検察審査会の起訴議決に法的拘束力をもたせる制度、(2)起訴議決を踏まえて行う訴追・公訴維持を指定弁護士が行う制度、(3)検察審査会の議決に当たり法的アドバイスを行う審査補助員を関与させる制度、(4)建議・勧告への対応についての検察審査会への検事正の通知義務制度等の新設です。


当連合会は、上記の法改正をふまえ、改正の趣旨が十分に活かされるよう、施行までに取り組むべき諸問題、特に運用規則面での検討課題について、添付の通り意見書をとりまとめました(2006年7月20日理事会承認)。


<意見の要旨>
  1. 検察審査会の審理充実のため、制度自体を周知させるための取組みを継続的に行うべきであり、法教育の一項目として学校教育で取り上げたり、事業所や経営者団体などへの継続的な資料提供と宣伝・広報を行うべきである。
  2. 検察官は検察審査会の議決を尊重した取扱いをすべきである。
  3. 審査補助員の推薦について弁護士会による推薦制度を導入することが規則化されること及び審査補助員に対する十分な手当が保障されるように、法律並びに政令が整備されるべきである。
  4. 指定弁護士について、以下の諸点が規則化ないし制度化されるべきである。
    (1)指定弁護士の裁判所による指定手続について、弁護士会による推薦制度を導入すべきである。
    (2)指定弁護士は2名以上指定できるようにすべきである。
    (3)指定弁護士が補充捜査権限を行使できる態勢を整えるべきである。
    (4)指定弁護士による捜査の指揮に対する検察官、検察事務官、司法警察職員の遵守義務を明記すべきである。
    (5)指定弁護士に対する十分な手当が保障されるとともに、補充捜査・立証活動等に伴う実費が保障されるべきである。

同意見書は2006年8月に法務省・最高検察庁・最高裁判所に提出いたしました。


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