割賦販売法の抜本的改正を求める意見書

2006年7月20日
日本弁護士連合会


 

本意見書について

近時、高齢者を狙った住宅リフォーム工事や布団、呉服等の次々販売などの悪質商法にクレジット取引が多く利用されており、こうした悪質商法をはびこらせる温床となっています。クレジットカード取引についても、悪質な業者に騙されてカードを使用させられる事例や、インターネット等による決済後のトラブルなどが増えています。また、購入者の支払能力を無視したクレジット契約が行われていることも、消費者金融などによる過剰融資とともに、深刻な社会問題である多重債務者を生み出す大きな原因の一つです。


こうした現状に対し、日弁連や消費者団体などは、クレジット取引を規制している割賦販売法を改正して、クレジット取引の規制を強化する必要性を訴えてきました。今般、経済産業省の産業構造審議会割賦販売分科会基本問題小委員会も、平成18年6月7日付け「報告書 クレジット取引に係る課題と論点整理について」を取りまとめ、現状のクレジット取引とこれに関する諸制度に多くの問題点があることを指摘するに至りました。


上記報告書は政府に対し早急な対応策の検討を求めており、そのためには、クレジット取引を規制している割賦販売法も多くの点で見直されることと考えられます。日弁連は、従来から不十分さが指摘されてきた割賦販売法の見直しがついに始まったこの機会に、実効性のある被害対策が実現されることを求めて、2006年7月20日、「割賦販売法の抜本的改正を求める意見書」を理事会で採択しました。その骨子は、次のとおりです。


(1)クレジット会社の販売業者(加盟店)に対する管理義務を、法律上に定めること
(2)クレジット会社に対する抗弁対抗の効果を、未払い金の支払停止のみならず、既払い金の返還請求権にまで拡大すること
(3)購入者の支払能力を超えるクレジット契約(過剰与信)を、具体的な基準を設けて禁止すること
(4)1回払いや2回払いのクレジット契約も、割賦販売法の適用対象に加えること
(5)クレジット契約について割賦販売法を適用する取引を限定している政令指定商品制を廃止すること


この意見書は、2006年8月4日に経済産業省に提出しました。


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