倒産法人に対する法人住民税均等割課税に関する意見書

2006年(平成18年)2月16日
日本弁護士連合会


 

本意見書について

法人の有する事務所、事業所及び寮等(以下「事務所等」)に対しては、資本等の金額及び従業者数に応じて、道府県及び市町村から、法人住民税均等割が課されます。当連合会は、倒産法人に対して継続法人と同様に均等割を課すことは、担税力に応じた公平課税原則に反すると考え、次のような改正を求めます。


(1)更生会社や再生法人が、債務の株式振替(DES)をしたことにより増加した資本等の金額及び欠損金填補のためにした形式的減資により減少した資本金額については、この増加額及び減少額をいずれも均等割の課税対象から除外する。(2)破産法人に対する均等割課税は、事務所等の保有を物理的に失った時以降は、廃止するか、資本等の金額がない又は1,000万円以下の法人とみなす。


前記改正意見の理由の要旨は次のとおりです。


  1. DESによる新株発行では、総資産は増加せず、資本等の金額が名目的に増加するだけです。企業活動の大きさや地方行政上の受益量を測る一応の基準として、資本等の金額が機能するとしても、名目上増加しただけの資本等の金額について均等割を課すことは、倒産法人の再建にも支障を来たします。そこで、倒産法人のDESによる資本等の金額の増加額のうち、債務超過が解消するまでの金額は、均等割課税の対象から除外すべきです。
  2. 形式的減資により欠損金を填補した場合、資本積立金が減資相当額増加したとみなす改正が、剰余金資本組入の場合のみなし配当非課税措置と引換にされました。そのため、形式的減資・欠損金填補の場合、税務会計上は資本等の金額は変動せず、均等割額は減資前後で変わりません。しかし、この増加した資本等の金額は税務会計上でのみ存するにすぎませんので、倒産法人に関する限り、欠損金填補額は均等割課税の対象から除外すべきです。
  3. 破産法人の有する事務所等は、管財事務の過程で物理的保有が失われるにもかかわらず、清算確定に至るまで均等割課税がされます。しかし、純資産回復の抽象的余地も地方行政上の受益の余地もなくなった破産法人にとって、名目的な資本等の金額には意味がなく、継続法人と同様に均等割を課すことには合理的根拠がありません。均等割課税を廃止できないとすれば、前記(2)のように、資本等の金額のみなし規定を設けるべきです。

 本意見書は、2006年2月22日に財務省、各政党、税制調査会に提出致しました。


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