死刑確定者処遇に関する有識者会議の設置を求める要望書

2005年12月14日


 

法務大臣 杉浦 正健 殿


日本弁護士連合会
会長 梶谷 剛


 死刑確定者処遇に関する有識者会議の設置を求める要望書


第1 要望の趣旨



1 死刑確定者の処遇に関する有識者会議の設置を要望します。
2 上記有識者会議は,行刑改革会議委員を中心に構成されるのが適当と思料します。


第2 要望の理由


当連合会は,かねてより監獄法改正のうち未決を中心とする立法について,審議機関の設置を求めてきました。このほど「未決拘禁者の処遇等に関する有識者会議」が設置され,その審議が開始されたことについては,当連合会としても高く評価しております。


もっとも,この有識者会議におけるテーマは,「未決拘禁者」に限定されており,死刑確定者の処遇は含まれておりません。これは,法務省と警察庁の共同で立ち上げた会議の性格上,やむを得ないことと考えられます。


しかしながら,旧監獄法において残された課題である死刑確定者の処遇についても,今次の改革が約100年ぶりのものであり,21世紀における我が国の死刑確定者処遇を方向づける重要なものであることを考えれば,この点についても,有識者の意見を聞いた上で立法すべきです。


特に,死刑確定者処遇の中でも,死刑確定者の接見及び信書の発受等に関する,昭和38年3月15日付矯正局長通達による「死刑確定者の心情の安定を害するおそれのある場合」という要件の見直しや,死刑執行の事前告知の法定等の問題については,極めて重要で議論のある問題であり,国民の世論の動向も踏まえつつ,有識者の意見を聞いて後顧に憂いを残さぬ形で立法がなされるべきです。

なお,有識者会議の設置に当たっては,これから新たに人選をする時間的余裕もないことから,既に受刑者処遇を中心に議論を重ねてきた実績と経験を有する行刑改革会議の委員を中心に構成されるべきと考えます。