心神喪失者等医療観察法の施行延期に関する意見書

2005年(平成17年)6月17日
日本弁護士連合会


 

本意見書について

心神喪失者等医療観察制度は、「重大な他害行為」を心神喪失等の状態で行った者に対して、裁判所の「審判」により入院や通院を命じて必要な治療を受けさせることができるという制度です。その根拠となる医療観察法は、2003年7月16日に公布され、公布後2年以内(2005年7月15日まで)に施行されることとされています。


ところが、施行を約1か月後に控えた現在に至っても、(1)対象者を受け入れる指定医療機関の整備が大幅に遅れており(施行までに6か所確保する予定が2か所しか確保できていない)、(2)対象者の処遇決定の前に行われる「鑑定入院」における医療と処遇、救済手続きについて、規定が欠如しているなど、このまま法律を施行すれば医療現場に混乱をもたらし、対象者にも適切な治療ができないという状態を引き起こすことは必至な状況にあります。


そこで、日弁連は、法が予定する医療機関の確実な整備を実現するための措置がとられ、かつ、鑑定入院中の対象者の人権を擁護するために必要な立法措置がとられるまでは、同法の施行を延期すべきことを求める意見書をとりまとめ、6月17日の理事会で採択しました。


この意見書は、2005年6月20日に、最高裁、厚生労働省、法務省など関連諸機関に提出して執行しました。冷静かつ適切な議論をもとめ、実現を期しています。

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