「少年法等の一部を改正する法律案」に対する意見

2005年3月17日
日本弁護士連合会


本意見書について

1 「少年法等の一部を改正する法律案」についての意見は次のとおりである。

  1. 「いわゆる触法少年及びぐ犯少年に係る事件の調査」(少年法等の一部を改正する法律案要綱(以下、「要綱」という)第一の一)、「14歳未満の少年の少年院送致」(同第一の二)、「初等少年院及び医療少年院の収容年齢」(同第二の二)及び「保護観察中の者に対する措置」(同第一の三、第三の一)について、いずれも反対である。
  2. 「国選付添人制度」(同第一の四)、「総合法律支援法の一部改正」(同第四)及び「保護者に対する措置」(同第二の三、第三の二)については、(3)及び(4)の点を除き、賛成である。
  3. 国選付添人の選任について、「事案の内容、保護者の有無その他の事情を考慮し」との要件(同第一の四1)を削除すべきである。
  4. 国選付添人の選任は、少年がその選任に係る事件の終局決定前に釈放されたときは、その効力を失うものとする(同第一の四2)との規定については、削除すべきである。

2 警察官及び児童相談所の調査について、次のような法的整備がなされるべきである。

  1. 触法少年及びぐ犯少年について、警察及び児童相談所の調査段階で、少年が弁護士の援助を受ける権利を制度化すべきである。
  2. 触法少年等の低年齢の子どもからの聴取についての具体的手法や配慮に関するガイドラインを策定するとともに、聴取の全過程をビデオ録画、テープ録音するなどの可視化の方策をとるべきである

3 触法少年及び14歳未満のぐ犯少年に対して適切な対応ができるよう、次のような環境整備を行うべきである。

  1. 触法少年及び14歳未満のぐ犯少年について、児童相談所が適切な事実調査を含めた対応ができるように、児童福祉司や心理判定員等のスタッフの増員や専門性の強化、専任部署、対策班の設置等、必要な条件整備を行うべきである。
  2. 触法少年及び14歳未満のぐ犯少年に適切に対応できるように、一時保護所の人的、物的拡充を図るべきである。
  3. 重大な触法事件を起こしたり、精神的医療措置が必要な14歳未満の少年に対応するために、児童自立支援施設の拡充をはかるべきである。


4 保護観察処分の実効性を確保するために、保護観察官を増員するとともに、保護司の選任方法を検討して、少年の保護観察に適切な保護司の確保が可能なように改善すべきである。

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