著作権法改正に関する要望事項

2004年9月6日
日本弁護士連合会


 

本意見書について

第1 意見

著作物の利用許諾について第三者対抗力のある対抗要件(登録制度)を創設すべきものと考える。


第2 意見の理由

著作物の利用の許諾を受けたライセンシーについて、現行法上、利用権の対抗要件が存在しないため、著作権者が破産した場合、その他権利の移転がなされた場合に、ライセンシーは利用権の確保ができない。コンテンツやプログラムの開発、利用促進に当たって、ライセンシーの利用権の安定的確保は不可欠である。


破産法改正によって、ライセンス契約に関して対抗要件を備えた場合には管財人の解除権を排除できることとされたが(破産法56条)、利用権について対抗要件制度のない著作権法の下では同条の適用は難しく、ライセンシーの保護は図れない。


そこで、著作権法63条1項、2項を前提とした利用権についての対抗要件制度(登録制度)を創設すべきものと思われる。


なお、当連合会では、2003年2月21日付け「倒産時におけるライセンシー保護に関する意見書」において、破産法改正に関してライセンス契約保護のため米国破産法365条n項に倣った改正内容(知的財産権のライセンス契約においては、ライセンサーが倒産した場合には対抗要件が具備されていなくてもライセンシーが保護されるよう整備すべきである)とされるよう意見を提出した。しかるに、破産法改正においては、対抗要件を備えることがライセンシー保護の要件とされたため、改めて、著作権法において改正破産法の要件を充たすよう対抗要件としての登録を提案するものである。


第3 改正案

著作権法第63条の2

前条第1項の許諾を得た者は、その登録をしたときは、その後に当該著作物につき著作権を取得した者に対しても、その許諾を対抗することができる。

または、


著作権法第77条

三 第63条第1項に規定する著作物の利用の許諾

以上