「実用新案技術評価書の作成」の改訂審査基準(案)に対する意見書

2004年4月23日
日本弁護士連合会


特許庁が平成16年3月31日付で公表し、意見を求めている「『実用新案技術評価書の作成』の改訂審査基準(案)」(以下、「改訂案」という。)について、当連合会は以下のとおり意見を述べる。


  1. 現在、実用新案法の改正法案(「特許審査の迅速化等のための特許法等の一部を改正する法律案」)が国会において審議されているところであるが、当連合会は、実用新案法改正に関する「産業構造審議会知的財産政策部会特許制度小委員会実用新案制度ワーキンググループ報告書(案)」に対して、2004(平成16)年1月6日に、既に意見書を提出し、「実用新案技術評価書」の問題点についても、意見を述べてきたところである。
  2. 実用新案法の改正法案では、存続期間が6年から10年に伸長され、また登録実用新案から特許出願への変更手続を認めるなど、実用新案制度の強化策が打ち出されている。そして、実用新案権の権利行使をする際には、技術評価書を取得して、提示することが条件となっており(実用新案法29条の2)、権利行使後に無効となった場合には、権利者側に賠償責任が認められる可能性が高くなっている(実用新案法29条の3)。したがって、実用新案技術評価書の評価内容に客観性・公平性の担保がなされていることが極めて重要である。
  3. この度の改訂案では、特に「評価した理由」を記載することとされており、その「記載例」でも具体的な「評価についての説明」が示されているので、好ましい審査基準案であると評価できる。
    したがって、特に実体的要件を欠如していると評価される場合には、当事者において、その評価内容を検討して権利行使の可否が適正・迅速に判断されるように、特に具体的で詳細な説明が記載され、かつ迅速な評価書が作成されるように期待するものである。

以上