中城湾港佐敷干潟埋立計画に関する意見書

2004年2月20日
日本弁護士連合会


本意見書について

1.干潟の重要性と保全の施策

干潟は生物多様性に富むだけでなく、水質浄化機能、レクリエーション機能、生活の糧を得る場所等として非常に重要な場所である。


湿地保全は世界的潮流であるが、わが国でも環境基本計画、生物多様性国家戦略の策定、重要湿地500選の公表等を行い、その重要性と保全の必要性を表明している。


しかし、国内の干潟の消滅は激しく、沖縄県でも干潟の多くが埋め立られ、現存する干潟も赤土の流失などにより、重大な危機に直面しており、その保全が急務である。


そして今また、沖縄県では重要湿地500選記載の佐敷干潟が埋立の危機にある。


2.佐敷干潟の重要性

佐敷干潟(面積約80ha)は、絶滅危惧種であるトカゲハゼを代表とする多様な生物が生息し、また、多様な形態の干潟形質が混在するなど貴重な干潟である。


3.本埋立計画の概要と合理性、必要性の欠如

佐敷干潟の埋立は、佐敷町が「佐敷町シーガーデン構想」として推進するものであり、不足する住宅用地、商業施設用地等の供給や渋滞解消等のための道路整備、馬天港の整備改修を目的とする、としている。その実現のためには、県の港湾計画に取り入れられる必要がある。


現在の港湾計画では埋立面積は36.4haであるが、町では2003年4月、埋立面積を約24haとする縮小案を策定し、県に港湾計画の見直しを申請した。


これまで埋立計画は数次にわたり縮小や目的が変更され、これだけでも埋立の必要性や合理性に大きな疑問がある。しかも、土地問題は町内の遊休地の活用や農業振興地域の解除で解決する可能性もあり、道路整備も渋滞解消に資するか疑問であり、馬天港の改修に至っては02年に突然盛り込まれるなど、代替案の検討や必要性の検討が十分に行われたとは到底言えず、必要性・合理性に大きな疑問がある。


さらに、町では埋立地の完売を前提に、収支は黒字とするが、県内各地で埋立地が供給過剰となっており、この収支予測も説得力に乏しい。


4.本埋立計画の中止への提言等

このように本埋立計画は必要性・合理性や収支予測にも大きな疑問がある。


干潟の一部が埋め立てられる以上、干潟の多様性が失われることは避けられず、しかも埋立の周辺環境への影響は事前評価が困難であり、埋立面積の縮小により、トカゲハゼやその他の生態系への影響が回避されたとも考えられない。


5.本埋立計画の中止への提言等

このように本埋立計画は必要性・合理性や収支予測にも大きな疑問がある。


干潟の一部が埋め立てられる以上、干潟の多様性が失われることは避けられず、しかも埋立の周辺環境への影響は事前評価が困難であり、埋立面積の縮小により、トカゲハゼやその他の生態系への影響が回避されたとも考えられない。


  1. 佐敷町はシーガーデン構想中の佐敷干潟の埋立計画を撤回すべきであり、
  2. 沖縄県は中城湾港港湾計画を見直し、佐敷干潟の埋立計画を廃止すべきであり、
  3. 国は、県及び町と協力して、佐敷干潟にしかるべき保全策を講じ、同干潟をラムサール条約の登録湿地とするための手続きをすべきである、

との意見を公表するに至った。