実用新案制度ワーキンググループ報告書(案)に対する意見

2004年1月6日
日本弁護士連合会


本意見書について

はじめに

1.知的財産戦略本部が平成15年7月8日に発表した「知的財産の創造、保護及び活用に関する推進計画」(以下「推進計画」という。)では、「第2章 保護分野」、「 I.知的財産の保護の強化」、「1.特許審査を迅速化する」、「(3)出願・審査請求構造改革を推進する」の項で、


  1. 出願・審査請求構造の改革を推進するため、出願者間のコスト負担を是正し適正な審査請求行動を促進する料金体系への移行に併せて、サーチ環境の整備や中小企業等を対象とする料金減免措置の拡充等の支援措置の検討を行う。また、出願人の理解と協力を得て、特許登録率の向上のための審査請求の厳選、権利取得の必要性が低下した出願の取下げ、実用新案制度の適切な活用等を含め、出願・審査請求構造改革を促すための施策を、2003年度以降推進する。

とし(推進計画25頁)、特に、同章の「3.知的財産の保護制度を強化する」、「(2)実用新案制度を見直す」の項では、


現在の実用新案制度では保護されないコンピュータ・ソフトウェアなど、ライフサイクルの短い技術や短期間に模倣品が出回る技術について十全な保護を図る観点から、実用新案制度による迅速・簡便な保護の選択肢を与えることを検討する。このために、


  1. 保護対象の制限(物品の形状,構造,組合せ)の撤廃
  2. 保護期間(6年)の延長
  3. 特許と実用新案間の変更

等、実用新案制度の在り方について検討を行い、2003年度末までに結論を得る。


とされている(推進計画27頁)。


今回の報告書案(以下「報告書案」という。)は、この推進計画に基づき、産業構造審議会知的財産政策部会特許制度小委員会実用新案制度ワーキンググループ(以下、単に「産構審」という。)において、平成5年改正の新実用新案制度の再改正について、アンケート調査や諸外国の実用新案制度の調査研究をも踏まえて検討された結果である。


2.もっとも、アンケート結果からも明らかなように、大企業ではむしろ実用新案制度の廃止が多数意見であるが、中小企業や個人にとっては生活関連用品を中心として小発明を保護対象とする実用新案制度の存続と、より利用しやすい方向への制度改正を求める声が多数であること、等から、我が国が真の知財立国を目指す制度改革として、その報告書案の内容について基本的には賛成するものの、若干の問題点が含まれている。


3.そこで、産構審が平成15年12月に公表しパブリックコメントを求めている「実用新案制度の在り方」についての報告書案に対して、以下に、報告書案(枠囲み部分)を引用しながら意見を述べることとする。


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