刑務所医療の抜本的改革と受刑者の死因調査制度の確立を求める日弁連の提言

2003(平成15)年7月17日
日本弁護士連合会


本提言について

提言の趣旨

刑務所内の医療の深刻な問題点と受刑者の不審死問題を解決するために、次のとおり、刑務所医療制度の抜本的改革と受刑者の死亡に関する死因調査制度の確立を提言する。


一、刑務所医療制度の抜本的改革について

1.刑務所医療改革の理念

次のような理念にもとづき、刑務所医療の改革をすすめるべきである。


  1. 医師の「保安からの独立」を確保する。
     ア、刑務官は、医師による診療の必要性について審査してはならない。

     イ、刑務所の医師は、患者の主治医として行動するべきである。

     ウ、医師は、受刑者の医療情報に関する守秘義務を負う。

     エ、医療の場には、刑務官を立ち会わせてはならない。

  2. 刑務所医療の外部医療との同等性を明確に法的に保障する。

2.上記医療改革の理念を制度的に保障するために、次の措置をとるべきである。
  1. 行刑医療の所管を法務省から厚生労働省に替え、「刑務所医務室」を「地域医療中核病院の出張所」へと位置づけを変えるべきである。
  2. 刑務所医療体制の不備を補完する地域医療との緊密な連携体制を確立する。

二、受刑者の死亡に関する死因調査制度の確立について

受刑者が死亡した場合、刑務所当局から独立した死因調査制度を確立すべきである。

明らかになった多数の死亡例において、死因が十分究明できなかったことを踏まえ、受刑者の死亡時に、刑務所当局から独立して情報を集め、死因を公的に調査し確定する制度が必要である。


すべての刑務所内での死亡例を変死扱いとして、検視を実施することとし、刑務所外の法医学者と法律家を検視官とする検視手続を保障し、検視記録を作成するべきである。


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