難民認定手続等の改善に向けての意見書

2002年11月12日
日本弁護士連合会


本意見書について

日本政府が難民の地位に関する条約及び難民の地位に関する議定書を遵守し,領域内にいる難民を差別・例外なく難民として認めるため,日本では,以下の点の難民認定制度の改善が必要である。

  1. 難民申請期限の徒過という形式的な理由のみによって難民申請を不認定とするいわゆる60日ルール制度を撤廃すること
  2. 法務省入国管理局が難民認定手続を所管している現状を改め,入国管理や外交政策を所管する省庁から独立した第三者機関による難民認定手続を確立すること
  3. 難民認定手続における適切な調査と判断を行うことのできる専門家としての難民認定官を採用し,育成すること
  4. 難民認定手続における適正手続保障の実現のため,以下の諸方策などを講じること
    1. 審査における聴取への立会など弁護士の代理人としての活動を認める
    2. 判断の前提となる全ての資料に対して意見を述べたり釈明をする機会を申請者に与える
    3. 難民認定の結果について詳細な理由を付記する
  5. 難民申請中の者に対して原則として審査終了までの間の在留資格を付与するなど,難民申請中の者の法的地位を確立すること
  6. 空港や港の一般旅客に見えやすい位置に諸外国語による難民認定申請書やパンフレットを配置し,庇護を求める外国人について難民認定機関に通知することなどによって申請に便宜をはらう義務を公務員に負わせるなど,庇護希望者の難民認定制度に対するアクセスを容易にすること
  7. 難民認定を受けた者の日本社会への定住支援のため,各省庁やNGOから構成する総合支援機構を設置し,生活全般にわたる保護・支援プログラムを策定・実施すること