訪問販売法・割賦販売法の改正に関する意見書

2000年9月14日
日本弁護士連合会


本意見書について

1. インターネット通信販売における交付書面の電子化について

通産省は、現在、インターネット通信販売における交付書面の電子化を検討している。


しかし、交付書面の電子化については、次の点に配慮して慎重に検討すべきである。


  1. 電子データの保存性や改ざん防止措置など通信環境の信頼性が確立されること。
  2. 書子データへの代替を一律に認めるのでなく、書面交付義務の趣旨及び機能を個別的に検証すること。
  3. 債務負担内容や不利益事由の重大性を警告する機能を持つ重要な書面については、電子データへの代替を特に慎重に検討すべきである。例えば、割賦販売法の契約書面及び催告書面、貸金業規制法の契約書面及び受領書面は、現状では電子化に反対である。
  4. その他の書面について電子化を認める場合も、契約者の同意を前提とし、電子データの改ざんの防止措置を設けること、請求により電子データまたは書面の再送付の義務を負うことなどを条件とすべきである。


2. 内職・モニター商法について

現在、内職・モニター商法のトラブルが多発している。


内職・モニター商法は、現行訪問販売法の広告規制や書面交付義務が必ずしも適用されず、抗弁の対抗についても契約書の記載上疑義があるため、救済が困難である。


そこで、つぎのような法規制が必要である。


  1. 訪問販売法を改正し、内職副業により収入が得られることをもって誘引し、これに必要であるとして商品等を購入させる販売方法について、
    1. 商品等の販売と収入関連業務を記載した契約書面の交付を義務づけること、
    2. クーリングオフを30日間認めること、
    3. 広告表示の規制及び勧誘行為の規制を行うこと。
  2. 割賦販売法を改正し、収入を得る目的の契約であっても、当該契約に先立って営業経験のない個人、または専ら賃金を得る目的を持って業務に服する小規模零細個人は、抗弁接続等の消費者保護規定の適用を受けることを明確にすべきである。


3. 連鎖販売取引の規制強化について

連鎖販売取引の広告が、連鎖販売を業とする者(一般会員)によりインターネットを利用して行われる事例が増大している。


そこで、訪問販売法13条を改正し、連鎖販売を業とする者に対しても広告規制を加えるべきである。


また、契約締結時の負担金額を低額に抑えることにより連鎖販売取引の要件を脱法しようとする業者が増加している。


そこで、連鎖販売取引の負担額の最低基準額要件(訪問販売法11条、政令10条、金2万円)を撤廃すべきである。


4. 割賦販売法の指定商品制について

割賦販売法の指定商品制を廃止し、クレジット契約を利用した商品購入・役務提供契約については原則としてすべて割賦販売法の適用を認めるべきである。


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