キャンプ・シュワブにおける邦人身体拘束に関する人権救済申立事件(勧告)


第11管区海上保安本部本部長宛て勧告

2019年8月29日



申立人は、沖縄県内の在日米軍海兵隊(以下「米海兵隊」という。)基地であるキャンプ・シュワブ付近において、辺野古新基地建設に反対する抗議活動を行っていた際に、防衛省告示により正当な理由なく入ることを禁じられた臨時制限区域に侵入し、米海兵隊所属の警備員により逮捕され、同海兵隊に身体を拘束された。第11管区海上保安本部は、米海兵隊より上記事実の連絡を受けたにもかかわらず、約8時間にわたり申立人の身体の引渡しを受けなかった。


米国軍隊の裁判権に服さない日本人が米海兵隊に身体の拘束を受けたときは、日本の当局は、日米地位協定についての合意事項に基づき、米海兵隊から「直ちに」日本人の身体の引渡しを受けなければならないとされているところ、第11管区海上保安本部が、正当な理由なく約8時間にわたり申立人の身体の引渡しを受けなかったことは、その間、申立人の身体の自由を奪うだけでなく、弁護人又は弁護人となろうとする者と接見し、助言や援助を受ける権利を侵害したと言わざるを得ないとして、同本部に対し、今後、同様の通知を受けた場合は、直ちに身体の引渡しを受けるよう勧告をした事例。



執行後照会に対する回答

〈海上保安庁第十一管区海上保安本部長回答・2020年5月14日〉


第1 照会事項


当連合会の勧告を受けて、貴本部において改善、対処された事項の有無、また、対処された場合は具体的に、いつ頃、どのような対処をされたのかについても御回答ください。


第2 回答


具体的な対応については警備上の観点からお答えを差し控えますが、当本部では、判決の趣旨を踏まえ、法令にのっとり適切に任務を遂行してまいります。