普天間市民駐車場の利用拒否に関する人権救済申立事件(勧告・要望)

アメリカ合衆国海兵隊普天間基地司令官宛て勧告、宜野湾市長宛て要望

2016年2月26日

 

 

申立人らは、米軍に対するオスプレイ配備反対運動をしつつ、普天間市民駐車場を利用する市民であるところ、ワッペンやシンボルカラーのチョッキ等を身につける等により、オスプレイ配備反対の意思表示をしたことにより、それぞれ本件駐車場又は本件駐車場に付設する施設(トイレ)の利用を拒否された。
これらの行為は、米軍に抗議する者を排除するというものであり、思想・信条による差別的扱いであるとともに、米軍に対する反対行動を制圧する極めて不当な行為であり、基本的人権を侵害する悪質な行為であるとして、アメリカ合衆国海兵隊普天間基地司令官及び宜野湾市長に対し、以下のとおり勧告及び要望した事例。

 

1 アメリカ合衆国海兵隊普天間基地司令官宛て勧告

(1) 今後米軍に対する抗議行動を行う市民が本件駐車場及びその付設トイレを利用することを理由として本件駐車場を閉鎖しないこと。

(2) 宜野湾市及び宜野湾市観光振興協会に対し、米軍に対する抗議行動を行っている市民に本件駐車場及びその付設トイレを利用させないよう求めないこと。

(3) 兵士を巡回させて米軍に対する抗議行動を行っている市民が本件駐車場を利用しているか否かを監視しないこと。

 

2 宜野湾市長宛て要望

(1) 市民に対し、ワッペンやシンボルカラーのチョッキ等を身につける等により、米軍の活動に対する反対の意思を表示して米軍に対する抗議行動を行っていること、過去に米軍に対する抗議行動に参加したことがあることなどを理由として、本件駐車場及びその付設トイレの利用を拒否することがないようにすること。

(2) 宜野湾市が策定した「普天間市民駐車場管理要綱」の、「駐車場使用にあたっての禁止事項」第3項の例示部分は、火気の持ち込みを除き削除し、「※駐車場入り口に看板を設置(図3参照)」の記載は削除した上、今後、米軍への抗議行動で本件駐車場を利用しないよう求める看板を設置しないこと。

 


【執行後照会に対する回答】

宜野湾市

<照会事項>

 (照会事項1)

当連合会の要望を受けて以降、現在までに、宜野湾市において対処された事項がありますか。あるとすれば、具体的に、いつ頃、どのような対処をされたのかについてもご回答ください。

 

(照会事項2)

上記1でご回答いただいた対処について、米軍から何らかの措置や働き掛けが行われたことがありますか。あるとすれば、米軍から、いつ頃、どのような措置や働き掛けが行われたのか、また、そのような米軍の措置や働き掛けに対して宜野湾市としてどのような対応をされたのかについてもご回答ください。

 

(照会事項3)

当連合会の要望を受けて以降、現在までに、宜野湾市において、国に対して普天間市民駐車場敷地の返還交渉を行うよう働き掛けたことがありますか。あるとすれば、具体的に、いつ頃、どのような働き掛けを行ったのかについてもご回答ください。また、働き掛けを行っていない場合は、なぜ行っていないのかもご回答ください。



<宜野湾市長名回答・2019年8月16日>

 (照会事項1への回答)

2016年2月に要望書を受け、すみやかに内部調査を実施し、同年7月頃に当駐車場の従業員に対して駐車場利用の規制をしないよう、指導を行いました。また、看板については同年10月頃に当駐車場の管理者により駐車場利用にあたっての禁止事項の文言等を削除し、改めて設置しております。

 

(照会事項2への回答)

上記1の回答した内容で、米軍から何らかの措置や働き掛けはございません。

 

(照会事項3への回答)

普天間市民駐車場敷地は、現地司令官の裁量により、利用が許可された土地となっております。当該地の返還を求め、仮に返還がなされた場合、当該地の各地権者に土地が引き渡されることとなることから、現在の駐車場としての利用形態を維持することが困難となるため、現状、当該地の返還は求めておりません。