公害環境行政の推進方に関する決議

健康の維持と環境の保全は、平和・民主主義・基本的人権の確立などと共に人類が達成しなければならない最大の課題である。


わが国においては、現在でも水俣病患者、大都市大気汚染患者等悲惨な公害の被害者に対する救済がなおざりにされているばかりでなく、昭和53年7月に実施されたNO2の環境基準の緩和、環境アセスメント法案の4度に亘る流産に象徴的にみられるように、環境政策は著しい後退をみせている。これらは、いずれも経済不況の克服を口実とした産業界のいわゆる「巻き返し」によって国がとった措置である。さらに最近では、国および自治体は鹿島・四日市等において得られた深刻な環境破壊の経験を生かそうとせず、北海道、東北、日本海沿岸、九州、沖縄などを中心に安易な開発を進めようとしている。


かかる状況のなかで、われわれは国および自治体に対し、改めて次のことを要請する。


  1. 全国各地で公害に苦しむすべての被害者について、徹底的にその実態を調査し、直ちに恒久的対策を含む完全なる救済を行うこと。
  2. 現に進行しつつある環境汚染について、住民参加による総合的な原因解明をつくすと共に、これに対する抜本的な発生源対策を樹立すること。
  3. 全国各地で進められようとしている開発については、その自然的、社会的、経済的、文化的影響につき長期的な視点に立った環境アセスメントを行い、これを行うに当っては、その資料を住民に公開し、討論の場を十分保障すべきことは勿論、過去の開発事例において環境破壊をもたらした実態を十分に調査、把握して、その予測に誤りなきを期すること。

右決議する。


1979年(昭和54年)11月17日
第22回於福岡市