本州四国連絡橋の建設に関する決議

四国の住民および瀬戸内海島民の永年にわたる夢を背景として今着工された本州四国連絡橋児島坂出ルートは、瀬戸内海国立公園特別地域にあり、瀬戸内海の中でも特に豊かな自然環境と美しい景観を有している。


ところが、この本州四国連絡橋の建設は、建設工事による魚類などへの影響、供用開始後の自動車・鉄道による騒音、振動、排出ガスの影響、自然景観の破壊等、地域住民の生活環境、社会環境および自然環境に大きな影響をもたらすことになる。


本州四国連絡橋の事業主体である本州四国連絡橋公団は、昭和52年11月以来、本州四国連絡橋児島坂出ルート建設計画について環境影響評価を実施してきたが、それは環境影響評価というには内容的にも手続き的にもきわめて不十分なものであった。


よって、国、本州四国連絡橋公団および関係地方自治体は、それぞれ次の施策を講ずべきである。


  1. 建設工事および供用開始後の自動車・鉄道による騒音、振動、排出ガス等により、地域住民の健康や自然環境などに悪影響を与えたり、自然景観が破壊されたりすることの無いように、地域住民の健康調査を含む適切な環境管理に関する施策を講じること。
  2. 本州四国連絡橋児島坂出ルートの建設予定地域について、地域住民の健康を守り、周辺のより良い環境を保全するために有効な土地利用に関する計画を策定し、実施すること。
  3. 本州四国連絡橋児島坂出ルートの建設について、その進行の各段階毎に、十分な環境影響評価を実施すること。
  4. 開発による環境破壊を防止するために、住民に対する完全な資料公開と計画内容などの周知徹底、住民の意見が十分反映することができる真の住民参加などを根幹とする環境影響評価制度に関する法律・条例をすみやかに制定すること。

右決議する。


1978年(昭和53年)11月11日
第21回於高松市