生存権の実現に関する宣言

憲法第25条は、すべての国民に対し健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を保障し、国はすべての生活部面について社会福祉・社旗保障及び公衆衛生の向上と増進に努めなければならないと規定している。


しかるに、いまだ、老年、疾病、障害、配偶者・保護者の喪失、失業その他により生活の手段を欠いた多くの国民が、国の十分な施策のないまま健康で文化的な生活からは程遠い実情に放置されており、裁判所もまたしばしばこの現状を容認してきたことは、誠に遺憾である。


われわれは、憲法施行30周年にあたり、改めて政府及び国会が生存権の実現こそ憲法上の重要かつ緊急な責務であることを深く認識し、すべての分野において、その向上と増進のため、立法、行政上の努力を傾けるとともに、裁判所もまたその使命を十分に果して右憲法の趣旨の実現に努めるよう提言し、全力をあげてこの提言の実現に努力する。


右宣言する。


1977年(昭和52年)10月8日
第20回於大阪市