海と海岸線の保護に関する決議

四方を海に囲まれているわが国は、古くから海の恵みを享受してきた。特に瀬戸内海は美しい景観と豊富な漁業資源を有し、われわれが世界に誇りうる国民共有の貴重な財産であった。


ところが、開発優先の諸立法にもとづく大規模開発などによって、わが国の海や海岸線のもつすぐれた自然は次々と破壊されてきた。特に、浅海の多い瀬戸内海は埋立ての好適地として次々と埋立てられ、その結果、藻場の喪失などの生態系の破壊や工場排水による汚濁などによって、われわれの人間環境に及ぼした弊害は計り知れないほど大きい。


しかるに、近年、右の高度経済成長政策に対する批判のなかで、海と海岸線の保護の必要性が強く叫ばれ、また、200カイリ時代を迎えて沿岸漁業の重要性が指摘されているにもかかわらず、そのための有効適切な立法がなされていない現状にある。


よって国は、すみやかに次の立法措置を講ずるべきである。


  1. 沿岸の良好な環境の保護と回復のための「海岸地帯保全法」を制定すること
  2. 瀬戸内海の特性に適合した総合的な施策によりその良好な環境を保全し回復するための「瀬戸内海環境保全法」を制定すること
  3. 右の両保全法の内容に沿うよう公有水面埋立法の全面的な見直しをすること
  4. わが国の沿岸漁業者の保護と現に漁業を営む者の良好な漁業環境を保障するための法律を制定すること。

右決議する。


1977年(昭和52年)10月8日
第20回於大阪市