公共事業による環境破壊に関する決議

空港、新幹線、道路、原子力施設等の公共事業による環境破壊の影響によって、周辺住民が日夜深刻な被害と不安に苦しめられている。これは、国、地方自治体およびその他の関係諸団体が、従来、公共性の名のもとに、環境に対する事前の影響評価をすることなく、安易にその新増設を行い、しかも、被害が発生してもその実態調査すら行わず、有効な対抗策をなおざりにした結果にほかならない。


よって、われわれは、国・地方自治体およびその他の関係諸団体に対して、すみやかに次の施策を講じるよう要請する。


  1. 既存の公共事業については、被害の実態を把握し、発生源対策の強化、損害の賠償等、被害者の十分な救済をはかること。
  2. 現在、計画中のものはもとより建設工事が進行中の公共事業においても、地域住民の反対、または被害発生の不安があるものについては、事業計画を再検討するため、工事を中止し、当該事業について、住民参加のもとに環境に対する十分な影響評価を行うこと。
  3. 国は、将来における被害の発生を根絶するため、環境に対する影響の予測を中心とした科学的調査の実施・資料の公開・住民参加などを根幹とする環境保全対策に関する法律を制定すること。

右決議する。


1975年(昭和50年)11月15日
第18回於名古屋市