債権取立に伴う暴力の取締りに関する件(第三決議)

近時、債券取立乃至確保のため、暴力を行使して、幾多国民の権益を、不当に侵犯する事例が増加しつつあることは、まことに遺憾に堪えない。


当局は、適切にその取締を実行し、すみやかに法秩序の回復確率を図るべきことを要望する。


(昭和41年8月27日、於札幌市、第9回人権擁護大会)


理由

近時暴力の追放は着々と成果を挙げているようであるが、民事紛争事件において、かくれた有形無形の暴力については、検察、警察当局は民事事件には関係してはならないとの原則に眩惑せられて、これを見のがしている場合が極めて多いのである。国民の一部には民事事件にからむ暴力に対しては警察の保護を求め得ないとさえ考えられている実状にある。最も著しい具体的事例は所謂暴力金融と称せられるものである。即ち債券取立或は確保に藉口して有形無形の暴力を行使することによって暴利を得る輩の横行である。従来この種の暴力は当局においては、これが取締検挙に困難を感じ、それがため、ややもすれば消極的となり、その結果法秩序を紊していることは甚だ遺憾に堪えない。その厳正な取締検挙こそ国民の多数が期待しているものであることを銘記すべきである。


よって、当局は適切にその取締を実行し、すみやかに法秩序の回復確率を図るよう要望するものである。


注(1) 提案会
名古屋弁護士会


注(2) 要望先
要望先 法務大臣、検事総長、警察庁長官