起訴前の勾留について保釈の権利を認める立法化の件(第一決議)

起訴前の勾留についても、保釈の権利を認める立法措置を、速やかに講ずるよう関係当局に要望する。


右決議する。


(昭和41年8月27日、於札幌市、第九回人権擁護大会)


理由

現行刑事訴訟法よれば何人でもひとたび逮捕せられたときは13日間乃至23日間の長期にわたり起訴前の勾留が継続せられ、この間においては保釈は許されない。これがため多数の者が身体の拘束に堪えかねて不実の自白を余儀なくされている。而もこの間弁護人家族等との接見は思うにまかせず、ことに接見禁止となった場合、弁護人すら接見が極めて困難となることは当連合会の度重なる秘密交通権尊重要望の決議にっても明らかである。(29年度、34年度、35年度、37年度、40年度)いうまでもなく国民は一般に有罪判決があるまでは無罪の推定をうけるものである。被告人ですらそうである。いわんや被疑者は未だ公訴提起さえうけない地位にある者であるのに、かかる長期にわたる保釈の権利なき身体の拘束が継続されることはある意味では未だ判決もないのに既に刑の執行を受けるに等しく、憲法32条(裁判を受ける権利)の精神に反するものといわねばならない。のみならず拘束は憲法38条(自白強制の禁止)の趣旨にも反し、ひいては憲法13条(個人の尊重、生命、自由、幸福追求の権利)の根本精神にももとるというべきである。


米法に於ては保釈は起訴前の段階に於ても保障されていることを銘記しなければならぬ。


よって、起訴前の勾留についても保釈の権利を認めるよう刑事訴訟法を改正することが必要であり国会、政府当局にかかる立法措置について要望するものである。


注(1) 提案会
第二東京弁護士会


注(2) 要望先
法務大臣、内閣法制局長官、衆・参両院法務委員会委員長、各党政策調査(審議)会々長