仮出獄に関する件(決議)

模範囚として認めらるべき受刑者中、再審請求を行うなど冤罪を主張する態度に出た場合、改悛の情なしとして仮出獄を許可されない事例がある。


かくのごときは、受刑者の良心の自由を抑圧するものであり、基本的人権の尊重に背反するものといわざるを得ない。


当局は、勤務状況の良好にして刑法第28条所定の刑期を過ぎた受刑者には、速やかに仮出獄を許可すべきである。


昭和40年9月25日
於秋田市、第8回人権擁護大会


理由

裁判というものは、証拠によって裁判官がなす判断であって、その判断は公正であるべきものである。しかし、裁判官も人間であり、まれには誤判がないとはいえない。ために、身に覚えなくして、刑に処せられる者が出ることも、やむを得ないところである。


しかして、受刑者であって服役成績良好であり、かつ、改悛の情ある者に対し、特別待遇をすることは一般に認められているが、それは、受刑者に希望を与え、悔悟遷善にも役立つからに他ならない。


もし、たまたま無実でありながら刑に処せられていても、その服役成績の良好なる者がありとすれば、その者に対しても仮出獄の恩典を与えるべきは当然のことと思われる。しかるに、現在の状勢をみると、受刑者が再審の申立等でその罪状を争うと、仮出獄を許される例が殆どない有様である。


罪状の容認或は否認は、判決確定までのこととさるべきであるから、服役成績が良く、かつ一定の期間を経過したものは、罪状の容認否認にかかわらず、当然仮出獄を許すべきが至当と思料するのである。