被害者の人権擁護の件決議(決議)

被疑者および、被告人に対する人権侵害については、一応保障の方法が講ぜられているが、被害者の人権については、殆んど閑却されている。


よって、当局はすみやかに被害者の名誉の回復損害の補償等につき立法、その他適切妥当なる措置を講ずべきである。


昭和35年11月12日
於高知市、第3回人権擁護大会


理由

刑事事件の被害者はまことに気の毒である。彼等は自己の意思に反して生命、身体、財産につき違法な侵害をうけ、時には秘密を公開せられ社会の好奇心の対象となることさえ甘受せねばならね。而して加害者たる被告人から損害の賠償をうけることは期待できず、物心両面にうけた損害は回復すべからざるものがある。一方、刑事被告人の人権保障は完璧に近きものがあるに拘らず、いわれなき侵害をうけた被害者は、その損害の填補につき国家から何等の保障もうけていない。


われわれは、かかる不公平と、不正義を忍容すること能わず、国家に対し、この不幸なる被害者の救済のため速やかに損害補償の立法措置を講ずべきことを要求するものである。