週刊誌等の表現自由の乱用反省方の件(宣言)

表現の自由は、基本的人権として尊重されるべきであるが、同時にその行使は、公共の福祉の要請に準拠すべく他人の人権を侵害してはならない。


しかるに、近時、週刊誌その他において、この自由を乱用し、他人の名誉を毀損して省みない事例があることは甚だ遺憾である。


よって、ここに表現の自由が人権尊重の基盤の上に確立保持されることを提唱する。


1959年(昭和34年)10月24日
於岡山市、第2回人権擁護大会


理由

A提訴事件においては、同人と教職にある前夫との間に生れた長女Bが自殺するや、「週刊実話特報」は、読者の興味本位に、無根の事実を掲載し、しかも公然本名をもって提訴人の名誉を侵害した事実が明らかとなったが、最近における週刊誌その他報道記事において、斯様な無責任の記事が横行していることは、目を掩うものがある。


出版報道関係者には、徒らに雑誌等の販売利益追及のみを目的とすることなく、倫理道義の確保昂揚のため最善の努力を尽されるよう提唱したい。