遵法精神の昂揚に関する件(宣言)

近時、ややもすれば、法を無視し集団的暴力或は権力をもって、人権を侵害し法秩序を紊乱する事例少しとしない。


我等は、この際一切の暴力と権力を排除し、遵法精神を昂揚すると共に、法秩序を確立して、基本的人権の擁護に邁進せんことを期する。


1958年(昭和33年)11月9日
於金沢市、第1回人権擁護大会


理由

暴力の追放については、多年強調してきたところであり、当局も暴力団の鎮圧に成績を挙げてはいるものの、その根底は強く、除き難い実情にある。例えば、大分市における集団乱闘事件、松山の暴力団事件、大阪競輪事件、東芝事件、苫小牧製紙会社争議の暴力団利用事件その他各所にその実例が頻発しているが、今後も続出するようであってはならない。最近日教組の勤務評定問題等にからみ政府が権力をもって組合に対し、組合は実力を以て之に対処、随所に暴力問題を起したが労働組合の公正な行動と、政府当局の慎重な行動が要望される。警職法改正について世論を無視し、国会の審議につき政府は与党の数により之を強行、野党は之を阻止せんと凡ゆる手段を講じ、公正なるべき国会が権力と実力と暴力によって汚点を残していることは遺憾である。これらの暴力を排除することが本宣言の目的である。