暴力排除と原水爆禁止の件(宣言)

憲法施行以来茲に10年、今や我国は国際連合に加入し、名誉ある安全保障理事会の一員に列することを得た。われらの念願は、国際連合憲章を尊重し世界平和の確立に貢献せんとするにある。


しかるに、国内においては未だ人権じゅうりん事件はその跡を絶たず、人身売買、年少者の酷使、生徒に対する暴行、被疑者の凌虐、その他幾多人権を無視する事件の続発する現状は甚だ遺憾である。


このときに当り、われら法曹はいよいよ基本的人権の擁護に徹し、内には暴力行為を排撃し、外には原水爆実験の禁止を要望してやまない。


1957年(昭和32年)11月10日
於和歌山市白浜町、人権委員会秋季総会


理由

人身売買、年少者の酷使、生徒に対する暴行、被疑者に対する凌虐等、弱い立場にある者に対する人権のじゅうりんは、形を変えつつ今なお続発している現状であって、斯様な事実が存在することは国辱といわなければならない。国内における斯る人権じゅうりん事実が後を断たないということは、洵に遺憾に堪えない。


また、国外に目を転ずるとき、依然として原水爆実験がこれまた後を断たない現状である。


われら法曹は、内に外にこれら行為を排撃し、もって基本的人権の擁護に徹するものである。