刑務所、少年院における暴行行為の件(決議)

刑務所及び少年院における暴力行為により基本的人権の侵害される事例多し。


当局は、これら弊害の除去に万全の処置を講ずべきである。


1956年(昭和31年)3月17日
於水戸市、人権委員会春季総会


理由

当委員会調査の博愛会病院事件(収容受刑者に対する侵害)山科刑務所事件、瀬戸少年院事件に現れているようにその実例が多い。之が防止は、根本的に監獄法の改正、科学的施設を必要と考えられるが、現状においても当局の考え方、取扱い方を注意をすれば改善できるのである。とかく、刑務所、少年院の収容者を悪人と遇し、これらの者を基本的人権の埓外におくために生じるものであって、要するに、これら関係者の人権意識が低いということが云える。殊に、少年院においては、矯正補導をすることが主要な目的であって、暴力による行為によってはその本来の目的を充分に果たし得られない。


当局は、以上の点を充分認識されこれが弊害の除去に努むべきである。