警察法改正に反対するの件(決議)

政府の警察法改正の企図は、市町村自治体警察制度を廃止し、府県単位の警察制度の創設に藉口し、一切の人事権指揮権をその手中に掌握し中央集権化せんとするものである。


これは日本国憲法地方自治法及び警察法に一貫せる主権在民の民主主義とこれに基く地方分権の基本原理に背反するのみならずこれが立法化は、官僚主義の復活と人権無視の思想を助長し、人権蹂躙事件を頻発せしむること必至である。


1953年(昭和28年)10月31日
於高知市、人権委員会秋季総会


理由

人権軽視の思想に基く改正である。市町村自治体警察を否定し、国家警察ないし、都道府県警察を創設することは、とりもなおさず「民主警察」から「権力警察」への逆行を物語る以外の何ものでもない。すなわちかような制度を希求する思想的根拠は「力」こそが治安維持の要諦であるとする考えであり、これを、さらにつきつめれば、基本的人権軽視の思想に基くものと言わなければならない。しかしながら、警察の社会的存在意義は、窮極において個人の基本的人権の保障にあるのであって、基本的人権が公共の福祉の立場からある程度の制約を受けることは憲法の認めるところであるけれども、その限界を超え、警察を政府の便宜や単なる能率の面からだけ眺め、ために警察の責務とする人権の保障を侵害する虞れあるような制度への改正まで飛躍することは、正しく本末転倒であり絶対排除されなければならない。