二俣事件に関する件(決議)

二俣4人殺し事件については、被疑者並に被告人に対する人権蹂躙の事実ありと推定する。


当局は、速かに真相を調査して、かかる不祥事の根絶を期せられたい。


1951年(昭和26年)4月16日
於最高裁会議室、人権委員会春季総会


(理由)

二俣事件調査の結果は、次の結論に到達したので本決議を提出するものである。


  1. 被疑者板倉政敏に対しては拷問の事実ありと認める。
  2. 被告人須藤満雄に対しては拷問の事実ありと推定する。
  3. 山崎巡査に対する偽証容疑逮捕の問題については、検察庁が本犯事件の判決あるまで逮捕を延期した点は、慎重な措置として是認することができる。

太田検事が偽証容疑として指摘している点は一応首肯し得る所もあるが、それらは抹消的問題であって、本件偽証の有無は大局的見地より拷問事実の有無に観点を置き、詳細に検討すべきであった。然る処太田検事は本犯起訴の担当者であるから、偽証事件についても先入観を有していることは争えない所である。従ってかくの如き事案については、本犯捜査に全然関係のない検察官をして白紙の立場より偽証の有無を再検討させることが望ましかった。


尚、山崎巡査は精神鑑定の結果、心神喪失者に近い者であるとの理由により不起訴になったのであるが、本委員会委員等が同巡査に面接した際の常識的認定並に鑑定書検討の結果、この精神鑑定の所論は必ずしも首肯し難い所がある。よって本決議案を提出するものである。


(本件調査については人権侵犯警告集(第一輯)に詳細されている)